587819 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

わたしのブログ

わたしのブログ

表のページと重複しています。

風呂を立ててくれたので入った。何日目だろう。錦県の病院で入って以来である。気分良く入っていると外でお婆さんのかん高い声がする。「こりゃ、あかんわ。千鶴、お前のズロース,だしなはれ。片山さんのフンドシ、シラミだらけゃなぁ。」と言っている。千鶴ちゃんが風呂の戸をあけて「これ、はいて。」と入ってきた。「ヤァ、すまんね。返すことは出来ないがこれもらうよ。有難う。」と言ったら「かまへん、使って、」と笑って出て行った。まだオカッパだが目がパッチリして中々美少女である。この家の子供たちは皆可愛く気さくな子であった。

 後でわかったことだが、女性が大事な下着を行為でくれただけのことであるが男性が快く使った。一見つまらないことだが、女性の身になってみれば非常に親しみを感じるそうだ。私は三十一歳、千鶴ちゃんは十三歳、このことは後で書くことにする。

風呂を出て白いネルのゴムの入っているズロースを穿いて女のセーターを着て、変な姿で台所へ行くと、お爺さんが「さぁ、さぁ、サンルームへいってリンゴでも食べてください。」と言う。明るい部屋で天気も良いしリンゴを食べているうちに眠ってしまったらしい。

そのときの姿がよほどおかしかったようである。内地に引き上げたいまでも北村さんの家に行くと三十七、八年も昔のことを思い出して笑うのだ(今は京都にいる。君枝と言う奥さんがお婆ちゃんになって未だ存命で百歳になったと知らせてきた。)。そのときのサンルームでの姿は、片手に一口大に切ったリンゴを持ち女の下着を付けて大の字になって寝ていたそうだ。私はだいぶ疲れていたのだろう。


© Rakuten Group, Inc.